公的に運営される「特別養護老人ホーム」

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特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは、介護保険の区分に含まれる入居型施設の事です。日常的にリハビリや介護、介助を必要とする人を対象に必要な生活サービスを提供することを目的としています。

介護保険法では、「介護老人福祉施設」という呼び方が規定されています。利用費は保険適用となり、所得に応じて設定されている利用費を負担します。

おおむね負担額は1~2割の個人負担となっています。そのため民営の老人ホームより低額で利用できるため、低所得者層が入所先として選びやすいのがメリットとなっています。

特別養護老人ホーム(以下特養)では、65歳以上で特定の病気にかかっていたり、日常生活動作に問題があるなどして家庭での生活が難しい方を中心に入所を受け入れます。

特養の運営主体は、自治体や法人が主なものなので、「公的に運営されている介護施設」としての色合いが濃いのが特徴と言えます。

その他の施設との違いは

介護が必要な方のための施設には、特養の他に有料漏示ホームやグループホームなどがあります。老人保健施設(老健)に入所してから特養に入る方もありますね。

これらの施設には明確にどのような違いがあるのでしょうか。大きな特徴は、名前が示すように「特別な養護を必要としている」方のための施設だと言うことです。

特別な養護とは、認知症などの精神疾患、四肢の不随などの症状が著しく、自力で食事や排せつが困難、あるいは不可能な高齢者の方への日常的なお世話のことを言います。

認知症や脳梗塞の後遺症が進み、寝たきりになるなどして自分で身の回りのことを準備することが出来なくなった方が安心して暮らせるための場所が特養なのです。

有料老人ホームでも介護サービスが御子慣れることはありますが、こちらは老人福祉施設に含まれないこともあります。グループホームは心身の障害がある方が地域の中で暮らすことをめざし、自分で出来ることは自力で行うことが前提となっている施設点で特養とは異なっています。

特養に入所する条件とは

特養には誰でも入所できるわけではありません。介護保険法によって受けられるサービスは細かく決まっているので、その中に特養についての規定も記されています。

原則として要介護度3以上の方から入所が許可されます。要介護度とは介護が必要な高齢者の日常動作を判定したもので、要介護度3の定義としては、立って歩くことが自分ではできず、排せつや食事、着替えや入浴など生活のすべての面に置いて誰かの力を借りなくてはならない状態です。

しかしこの状態は新大抵な特徴だけを鑑みたものです。認知症が進んでいる場合はまた違う判定がなされます。認知症は一種の精神疾患なので、症状が進んでいても歩行食事など肉体的な事は自分で出来る場合もあります。

日常生活動作はま保たれていても、認知症が進むことによって徘徊や妄想、家族とのトラブルなどが頻回になっていると入所を認められることもあります。それは本人の安全を確保するためでもあり、家族の介護負担を減らすためでもあります。

施設内の設備、日常

食事、入浴、排せつなどの生理的な活動を行うためにトイレ、大浴場、食堂などが完備されていて、基本的に集団生活を行います。居室は2人~4人部屋であることがほとんどですが、介護度が上がって特別なケアが必要な場合個室になります。

特養は福祉施設であり医療施設ではないので、医療行為は基本的に行いません。しかし高齢者は病気や怪我をする率が高く対応が急がれる場合も多いのが現状です。そこで医務室が設置されていて、看護士や嘱託医が常駐しています。

食事の機能が落ちた方に対して胃ろうを行ったり、朝の検温や血圧測定や、呼吸器をつけている方への痰の吸引などを行うのは看護士の仕事です。介護士が痰の吸引を行うには指導を受ける必要があります。

嘱託医の勤務は施設によって常時であったり曜日が決まって居たりしますが、看護師は日勤で毎日勤務するケースが一般的です。簡単な傷や発熱ならばその場で治療は投薬指示を行いますが、症状が重篤な場合は病院を受診します。

この他、介護度の進行を抑えるためにリハビリ施設が用意されていて、歩行訓練や筋力トレーニングが行えるようになっています。その際作業療法士なトレーナーなどが指導に付き、安全に気を配って訓練を行います。

また、特養は生活施設なので娯楽の必要も検討されています。大型のホールが設けられていて映画鑑賞会やボランティアによる演芸会が開かれたり、近隣の幼稚園児の訪問を受けたりもします。利用者が参加して簡単なゲームを行ったり外出の時間も設けられます。

そのために多くの施設では車いすの移乗が可能な大型車が配置されており、比較的健康な人を対象に花見や買い物に出かけることも可能となっています。介護車両の機能は向上しており、寝たきりの方でもベッドで外出する場合もあります。

待機老人問題

特養は日常的に介護を必要とする高齢者のための施設、設備なのですが、現在特養に入れず自宅で待機しているいわゆる「待機老人」の問題が深刻化しています。

自宅待機の間に介護度が進行していまうこと、その間の家族による介護の負担から来る心理的な圧迫、そのため介護者の方が医療のケアが必要になってしまうなど待機老人問題は看過できない重要な課題です。

なぜ待機老人が出てきてしまっているのでしょうか。それはに倍率の問題が挙げられます。有料老人ホームなどの月費用が20~30万なのに対して、特養では5~10万と格段に安く設定されています。

そのためさきに挙げた低所得者層の家庭では、特養に入所することを希望される場合が多いのです。そして長引く不景気から低所得家庭は年々増える傾向にあり、高額な老人ホームに入れない家庭が多くなっているのです。

その一方で、特養の数を増やすことが出来ないという問題も顕在化しています。なぜ施設を増設することが出来ないのか、それは運営が官によるものだからです。

国費によって補助金が出されているので、施設を増やすことは増税に繋がります。慎重にならなくてはならない課題なのです。

また介護者の定着も難しいという問題が長年解決されないままです。老人介護には体力が必要であり、技術力も求められ、また認知症の利用者に対応する精神的な入所も必要です。

高いスキルが求められ現場でありながら、介護報酬は一貫して低い水準のままにあり、若い介護者の方が就職しても将来的な生活不安から離職するケースが後を絶ちません。

施設の数を増やすことが出来ても、仕事に従事してくれる介護職員の数を確保できないのです。場所もない、人も居ない、希望者だけが増えていくという三重の課題が特養の現状に重くのしかかっているのです。

このため、待機老人問題を解決する一助として、サービス付高齢者住宅の設置が検討されています。これは一般の家庭をバリアフリー設計にするなどして車いすでの生活を可能にしたり、掃除や洗濯などのサービスを受けて日常を営めるようにしたものです。

介護が必要になっても安心して生活でき、家族の負担を減らすためにも、このような代替的なプランを見直しつつ、速やかな介護サービスの充実が待たれます。

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