私の住む西日本では、今年は秋になっても夏のような日が続いていました。
ようやく秋らしい空気になってきた10月中旬過ぎ、畑に生い茂ったセンダングサで糸を染めました。
センダングサは、放っておくとどんどん大きくなり、軽く背丈を超えるようなたくましい草です。

花が咲いている今くらいが、染めには丁度いい時期です。アルミ媒染で落ち着きのあるきれいな黄色が出るので、度々染めています。
これまで糸の染めは、その年のその季節に1工程だけ染めていました。
なるべく褪色させたくないので、2工程より多く染めたい。そうなると、糸が仕上がるまでに2年以上はかかります。
今年のセンダングサの染めでは、少し体力に余裕があったので、2工程を続けて行うことにしました。
今回は100gの糸を8かせ用意しました。2工程分で、糸の重さの2倍の1.6kgのセンダングサを刈りました。

押切で細断して水洗し、煎出します。大きなタンクいっぱいになりました。

沸騰してから20分煎出します。

かさがずいぶん減りました。
続いて2煎、3煎と煮出します。

左から、1、2、3煎目です。1煎目がずいぶん濃く出ました。
あまり濃い色にはしないつもりなので、2~3煎目の液から使うことにしました。

浸水して絞った糸の綛をひたし、徐々に温度を上げていきます。
むらにならないように時々かせを繰りながら、80℃ぐらいで20分保ち、その後放冷します。
色味のよい黄色が染まっています。

媒染は酢酸アルミです。
濃度は1~5%ですが、今回は淡色よりの中色を出したいので、2.5%にしました。

時々かせを繰りながら20分浸します。
かせを水洗したあと、染液へ。再び同じように染めます。
少しずつ濃くなっていきます。

80℃で20分保ち、放冷します。温度が下がっていく時も、時折かせを繰ります。
かせを水洗したあと、染液を替えてここまでの工程(染め→媒染→染め)を、もう一度繰り返します。
糸が乾くと色が浅くなるので、それを考えて染め重ねます。
少しベージュがかった、やさしい黄色を染めることができました。

同じ「黄色」とはいっても、夏前に染めたフクギの鮮やかさとは全く違う色味になりました。
ひとつの作品のなかに同居させたら、きっと深みのある色合いになると思います。
どんなものに生かそうか、考えるのがとても楽しみです。


