宝の山

 

去年の12月初めの午前、家からいちばん近いポストに歩いて行きました。

よく晴れていて、太陽のぬくもりと青い空が気持ちのいい朝でした。

ふだん、その時間にその場所はまったく通りません。とても新鮮な気分です。

 

ふと道の先のほうを見るとトラックが止まっており、おんちゃん(おじさん)が2人作業をしています。

どうやら道に張り出した木々を切っているようでした。

大変そうだなあ、と思いつつそばを通り抜け、ポストへの道を歩いて行きました。

 

左手の茂った木々のはるか下に、清冽な川の流れが垣間見えます。

風は冷たいけれど、せせらぎの音と相まって五感を洗い流すようです。

 

用事がすんだ帰り道、さっきの伐採現場をまた通りかかりました。

すると、いろんな木の中に大きめの矢車附子がありました。

そういえば、このあたりに届かない高さの矢車附子が生えていたのです。

その木が、無造作に転がっています。

 

わーーー!! どうしよう!

 

これは頼み込むしかないと思い、おんちゃん達に声をかけました。

染めものに使いたいのでとっておいてほしいと言うと、ええよ、という快い返事。

道に散らばっていた矢車附子の実を、ブロワーで集めてくれました。

枝を引きずるようにして道のわきに移動し、改めて取りにくることにしました。

 

車で2回通い、無事に家へ。

大きく腕をひろげて抱えられるだけ抱えても、その4つ分くらいあります。

実が一番濃い染液が取れますが、枝と葉も染めに使えます。

宝の山です。

 

ポストに行く用事があって本当によかった! とつくづく思いました。

 

作業をしていたおんちゃん達に感謝です。

 

 

 

 

 

 

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